MDRS居住実験12日目 閉鎖空間と快適性
明日実施予定のEVAで、提案していたレスキューシミュレーション計画が採用されました。
前回却下された夜間EVAも含め、今回の提案も許可されるまで大変でした。他のメンバーがかなり助けてくれました。
私が提案するプランは、安全上の理由からことごとく、ミッションサポートメンバーには引っかかるようです。
どうして今までやってなかったのと思ったりもしますが。
今日は以前から調子の悪かったATV No.4の具合をCrew Engineerとしてチェックしました。ギアーをニュートラルからドライブやバックに切り替えるととエンジンが止まってしまうというトラブルがずっと続いていました。
調査結果は、異常なしでした。
エンジンが止まってしまう理由は、操作が難しいからです。
ATV No.1-3は右にスロットル、左にギアがありますが、No.4はスロットル、ギアともに右にあります。つまり同時に右手でスロットルとギアを操作する必要があります。実質、左手を右に持っていくしかありません。
このATVはYAMAHA製です。YAMAHAさん、なぜこんな使い勝手の悪い、ATVを設計したのでしょう。
さて次は、閉鎖空間と快適性についての話です。
みなさん、都市から遠く離れた閉鎖空間の中で、男女7人が居住したら、ものすごくストレスを感じるのではないか、と思われるでしょう。
ところが、思っていたほど、ストレスを感じていません。
理由はいくつかありますが、簡単に紹介します。
☆ 居住空間がある程度広いから
実は、居住空間がある程度広いとあまりストレスを感じません。しかも寝室は個室です。
ミッション期間と居住空間の体積の関係を示したCelentano Curveというものいがありますが、体積がある程度大きくなると、思っていたほどはストレスを感じません。(同じことをバイオスフィア2に行った時も思いました)
そして個室はありますが、個室に閉じこもる人は誰もいません。
☆ 適度な騒音
Habの中は空調機器の音がある程度うるさい、特に寝室は夜中に何度も目が覚めます。この適度な騒音が、意外にリラックスさせてくれます。静かな部屋に他人とずっといたらストレスたまりますよね。
☆ 水の使用が制限されていること
これは意外にすぐに慣れました。食器は1日1回しか洗いません。シャワーは2分程度を5日間で1回です。
☆ 窓の存在
Habにはたくさんの窓があります。2階の大部屋で4つ(大きな窓2つ、小さな窓2)、1階の実験室で4つぐらいあります。
しかし、私個人としては、閉鎖試験としては、この施設は窓が多すぎると思います。宇宙居住施設で窓を作ることは、構造重量の増加という問題があるので、あまり好まれません。
☆ 米国流のリーダシップとフォローワーシップ
私を除いた他の6人は、英語を母国語とし米国で生まれ育ったメンバーです。米国人の一部は小さい時から、いろんな形で米国流のリーダシップ教育を受けているので、個々を尊重しながら、グループのパフォーマンスを最大限に発揮するスキルを持っている人がいます。このような方は、専門外の教養もかなりあると思います。また他のメンバーはいい意味でフォロワーに徹します。細かい指示をリーダーが出さなくても、全体としてうまく機能している気がします。
日本人の集団だったらこうはいかないだろうと思います。そんな訓練うけてもいないですし。
☆ みんなおしゃべり
女性がおしゃべりなのは、当たり前ですが、男性メンバーも、かなり口数が多いです。閉鎖空間では、口数が多いほうがみんな快適に過ごせるような気がします
まったく学術的ではない、私の独りよがりな感想でした。
2014年1月1日、Crew132みんなそろって、GreenHabに野菜の種を植えました。
日本のへしこもありました。3月にTeam Nipponが来た時には食べられるでしょうか。