マーズ・オデッセイ Let's do the math 生存パターン
マーク・ワトニーが生存できたシナリオについて小説をもとに計算しました。よくわからない部分については私が設定を仮定しています。すべての物質を質量に換算して、Sol 0-504(MAV到着)までを計算した結果の一部を以下に示します。設定条件を変更すればまた違った結果になります。あくまで生存できた一例だと考えてください。
計算の前提条件
・水初期貯蔵量:300L(液体)
・酸素初期貯蔵量:50L(液体)
・二酸化炭素初期貯蔵量:40L(液体)
・MAVでの二酸化炭素の生産:0.5L/h(液体)
・ヒドラジン:292L(液体)
・ジャガイモ:1500kcal/日分を生産・・・100g当たり76kcal、たんぱく質0.1g、脂肪1.6g、炭水化物17.6g、繊維1.3g (生化学量論でモデル化)
・ジャガイモ200日分を収穫
・HABでは、水再生(再生率90%)、二酸化炭素回収・還元、酸素生産
・ローバでは水、二酸化炭素の回収再生なし
・EVAでは水2L/Sol使い捨て(かなり理想的な数値に設定)
・爆発による反応を考慮してない
主なイベント
Sol 32 火星大気からの二酸化炭素生産、水の生産開始
Sol 72 Pathfinderへ向けHAB出発
Sol 94 HABへ帰還
Sol 119 ジャガイモ全滅、200日分のジャガイモが残る
Sol 449 HABシャットダウン、Ares4 MAVに向けてHAB出発
Sol 504 MAV到着
残存食料の変動
1500kcal/Solと考えて何日分の食料が残っているかを示している。Sol 119で200日分の食料(じゃがいも)を確保している。
酸素、二酸化炭素の変動
Sol32からCO2の生産をMAVで開始し、ヒドラジンのH2を利用して水を生成する。植物の光合成により二酸化炭素が減り、酸素が増える。ジャガイモが全滅したSol119以降は、装置を利用した二酸化炭素の回収・還元、酸素生成、水再生のみを実施する。
水の変動
水初期貯蔵量300Lに、さらに水313Lを生産する。生命維持用の50Lを除き植物栽培に利用する。ただし、蒸散水を回収して水を再利用する。ローバでの遠征中、EVA中は、二酸化炭素や水の回収は実施しない。