予備実験3 CO2センサー3台目設置
部屋P1(PC教室):約174m2、(窓にストッパーがあるため10cmのみ開)
CO2センサー3台目を設置し、室内3か所を計測しようとしたが、1台信号検知せず(後ほど配線交換)
2台利用して計測、1台をいつもとは違う教室後方に配置
計測位置は、a:教室中央、w:教室後方(開いていない窓に設置)
人数:54人
11時、温度:20.7℃、風速:7.0m/s、風向:東北東 (窓の向きは教室後方、西南西)
授業開始の10時40分に教室中央で1500ppmを超えていたので、教室後方窓4か所、前方ドア2か所全開
風向きがよく、室内を風が通り抜ける。5分ぐらいで400ppm近くまで下がる。
11時40分に教室後方の窓を閉める。教室前方のドアも閉める。CO2濃度が少しずつ上がり始める。
12時10分には1500ppm付近になる。
予備実験2 教室内2か所、CO2濃度、および温度計測
本日から計測地点を教室内2か所(教室中央、教室前方)にしました。
部屋P1(PC教室):約174m2、(窓には転落防止のストッパーがあるため10cmしか開きません)
人数:21人
13時、温度:25.9°、風速:9.5m/s、風向:南南西 (窓の向きは教室後方、西南西)
授業開始の13時に3000ppmを超えていたので、教室後方窓4か所、前方ドア2か所全開
35分ぐらいで400ppm近くまで下がる。空調、エアコンをONにしているため場所によるCO2濃度差はあまりない。
14時に教室後方の窓を閉める。教室前方のドアも閉める。CO2濃度が少しずつ上がり始め、14時半には3000ppm付近になる。
14時半ごろに、次の講義の学生が数十人入室してきたため、教室中央のCO2濃度は6000ppmを超える。
教室換気予備実験1
計測した部屋
・部屋P1(PC教室):約174m2、(窓には転落防止のストッパーがあるため10cmしか開きません)
・部屋M1(中講義室):約144m2、(窓には転落防止のストッパーがあるため10cmしか開きません)
計測機器
5月12日の記事で紹介したもの
予備実験の途中報告(要点のみ)
・150m2ぐらいの部屋に50人くらいの人がいると、機械式の換気のみではCO2濃度は下がりません。
・窓を開けると、CO2濃度は下がりますが、風向が重要です。風向によっては換気の効果がかなり下がります。
1.部屋P1:2021年5月11日 10:40-12:10、温度:17.6°、風速:3.8m/s、風向:東北東 ***グラフなし***
2.部屋P1:2021年5月13日 14:40-16:10、温度:17.8°、風速:4.2m/s、風向:東
人数:約45人
15:15 教室後方窓4か所10cm開放、前方ドア2か所開放、15:45 窓・ドア閉
3.部屋M1:2021年5月13日 16:10-17:50、温度:17.6°、風速:3.5m/s、風向:東
人数:約55人
17:05 教室横窓4か所10cm開放、教室横ドア2か所常時開放、17:25 窓閉
4.部屋P1:2021年5月14日 13:00-14:30、温度:16.8°、風速:3.7m/s、風向:北
人数:約25人
最初からCO2濃度が高かったため、13:00から教室後方窓4か所10cm開放、前方ドア2か所開放、14:00 窓・ドア閉
(専門家の指導を受け、温度も計測し始めました)
CO2センサーデータ記録装置開発(+1,500円で)
室内の換気の目安として、
室内のCO2濃度を計測する方法が推奨されています。
室内のCO2濃度を計測する装置は、比較的安く(数千円)、多くの種類が販売されていますが、データとして記録を残す機能がついている製品は非常に高価(10万弱から数十万)です。
そこで、以前、道路の傾斜を計測し、バリアフリーマップを作成する際に製作した
arduinoを用いたデバイスを、CO2濃度計測デバイスに作り変えました。(1500円のセンサー購入のみ)
KEYESTUDIO DC 5V CCS811 CO2 二酸化炭素 TVOC 大気質 センサー モジュール for Arduino アルドゥイーノ アルディーノ 電子工作
を2つ注文していたものが届いたので、本日、2時限授業開始前に、1時間ほどで組み上げ、早速計測してみまました。
予備計測でいくつか興味深いことが分かりました。
以下、予備実験の流れです。
教室の広さ150m2程度、50人程度(席の2/3が利用された状態)
教室外CO2濃度 400ppm
10:40 授業開始(換気扇は常時ON)計測位置(教室前方壁面)2000ppm
10:55 計測位置移動(教室真ん中付近)1600-1700ppm
11:20 エアコンON 1500ppm(部屋空気がかき混ぜられ均一化したのか?)
11:30 エアコン送風強 1500ppm
11:35 教室後方窓4箇所をストッパーまで(10cm程)開ける、教室全面入口2箇所全開 すぐに400ppmに低下
・換気扇のみの利用だと、CO2濃度は下がらない。(50人が吐き出したCO2が外に排出されるだけの能力か?)
・エアコンを利用するだけでは、弱でも強でも、攪拌されるだけで、CO2濃度は下がらない
・教室の窓4箇所(10cm程度)とドア2か所(80cm程度)開けるだけで、CO2濃度は2~3分で400ppmに低下
窓開け換気の効果の大きさを実感
・今日の一番の発見は、授業開始時のCO2濃度が一番高い(前日のCO2、1時限(講義なし)のCO2が残っているのか?)
教室に来たら、まずは換気するのが重要だということが分かりました。
次は、最近話題になっているソーシャルディスタンスの論文で利用されている換気モデルを利用してシミュレーションをする予定です。この論文、かなりの大作で、通勤途中の電車の中でずっと読んでいます。
A guideline to limit indoor airborne transmission of COVID-19
PNAS 2021 Vol. 118 No. 17 e2018995118
https://www.pnas.org/content/suppl/2021/04/13/2018995118.DCSupplemental
付録やExcelのシートもダウンロードできます。
中間報告は、生態工学会の年次大会で発表の予定です。
http://www.see.gr.jp/event/2021/taikai.html
参考文献
感染症のマルチエージェントモデル作成 架空都市東京エリア
2020年3月ごろ、クラスターと聞いて、最初に思い浮かべたのがマルチエージェントモデルでした。ただ順番として微分方程式で記述できるSEIRモデルを作成し、第一波の結果に合うようにパラメータを決めていました。次に2020年7月頃より、構造計画研究所のArtisocを用いて東京エリアを模擬したMASモデルを作成し始めました。
参考にしたのは参考文献に示した以下のモデルです。
・artisocの感染モデル
エージェントにバラツキがなければ、SEIRモデルと同じ挙動
このモデルに、地理的効果、人口密度、広域移動(通勤)の要素を組み込みました。
架空の都市の設定(エリア全体で6万セルしかないので、人口は1400万人には設定できません)
初期値
人口約10000人
初期感染人口1%(どこで発症するかはランダム)
行動範囲
グループ1(近隣移動)80%
グループ2(広域移動)20%
接触人最大値100人(実際の接触人数は人口密度と行動範囲による)
感染確率20%
平均感染期間14日
潜伏期間5日
重症化率5%
重症時死亡率(入院)5%
重症時死亡率(自宅等)40%
緑:健常者(近隣移動)
ピンク:健常者(広域移動)
赤:感染者
青:免疫保持者
黒:死亡者
感染者数を次の3つの場合について比較しています。
・人口密度均一
・23区人口密度2倍
・人口の20%が広域移動(通勤)
初期パラメータが同じでも、人口密度や広域移動をモデルを組み込むと感染者数が増加することがわかります。
本当は、エージェントの設定を年代別に変えるべきなのでしょう。次の課題です。
参考文献
構造計画研究所MAS COMMUNITY https://mas.kke.co.jp/
感染症モデル https://mas.kke.co.jp/infection/
artisoc中級チュートリアル GISデータを利用したシミュレーションモデル作成講習 https://mas.kke.co.jp/howto/artisoc%e4%b8%ad%e7%b4%9a%e3%83%81%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%aa%e3%82%a2%e3%83%ab-gis%e3%83%87%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%82%92%e5%88%a9%e7%94%a8%e3%81%97%e3%81%9f%e3%82%b7%e3%83%9f%e3%83%a5%e3%83%ac/
SEIRモデルによる新型コロナウィルス発症者数の予測
4月11日現在、先週のモデルの計算結果より、実際の感染者数(累積)は1311人上振れしています。
感染症数理モデルとしてよく使われるSIRモデル、SEIRモデルを作成し、シミュレーションしてみました。市中での潜伏期間を考慮し、緊急事態宣言後を計算したSEIRモデルの結果を次に示します。(SEIRモデルの各種パラメータは現実に合うように決定)
SEIRモデル
SEIRモデルの微分方程式を4次のルンゲックタ法を利用して数値計算
参考文献で紹介されているVBA('Runge-Kutta法(吉川 浩氏(日大)制作に菊入勝也氏補作))を改造してプログラムを作成
前提条件
2020/3/1 239人から計算開始
2020/4/10 6005人になるようにパラメータ調整
2020/4/8 緊急事態宣言 接触8割抑制
感染率β:1.527E-09
回復の速度γ:0.071428571
接触ごとに感染が生じる確率p:0.019245
1日に接触する平均人数m:10 (4/8以降を2に調整し再計算)
総人口N:126000000
発症率(感染性を得る率)ε:0.2
2020/3/1~2020/5/30の発症者数変化 1日に接触する平均人数:10人
2020/3/1~2020/5/30の発症者数変化 1日に接触する平均人数(4/8以降):2人
2020/3/1~2020/5/30の発症者数変化 1日に接触する平均人数(4/8以降):2人、3人、4人の比較
参考文献
・西浦博,稲葉寿,感染症流行の予測:感染症数理モデルにおける定量的課題,統計数理,54(2),461-480,2006.
・稲葉寿,微分方程式と感染症数理疫学,数理科学,538,2008.
・Excelで簡単微分方程式,https://chemeng.web.fc2.com/cemath/cemath50.html